父と石垣島へ旅行した時に、川平湾に観光で立ち寄った。海がとても綺麗で父はとても喜んで、少年のように目を輝かせて海を眺めていた。息子は、そんな父に会ったことがない。息子が産まれる前に、父は亡くなった。父の思い出をよく聞かせていて、いつも「じぃじに会いたい」と思い出の中の祖父を慕っていた。そんな息子と、石垣島の川平湾を訪れた。「じぃじが好きだった海なんだよ」と聞かせると、いつも元気いっぱいに走り回る息子がすっと立ち止まった。東京に住む息子にとってこの雄大な大自然を体いっぱいで感じているように見えたし、まるで父と会話をしているかのように見えた、そんな息子の後ろ姿だった。息子にはどんな時間だったんだろう。いつかゆっくり息子に聞いてみたい。