投稿日:2025.08.05

☆これが「多良間流」のおもてなし!最高の景色と最高の料理と☆

 みなさまこんにちは!私の住む多良間島は、もうすっかり夏まっさかり!毎日とっても暑いですが、大好きなリュウキュウアカショウビン※の鳴き声と、相変わらずのセミの大合唱が、「島の夏」を感じさせてくれるここ最近です♪
※南西諸島に夏鳥として渡来する、全身綺麗な赤色をした鳥で、「キュ~キュルルルル~」という感じの鳴き声がとてもかわいい鳥です(鳴き声の感じ方には個人差があります(笑)。

 そんな夏の多良間、沖縄の夏と言ったら海!な方も多いですよね。私は元々ダイビングをしていたこともあって、気づけば海に入っている日が多いです(笑)。今日はそんな経験の中から、「多良間だからこそ!」経験できた、素敵な瞬間をご紹介したいと思います♪

※相変わらずの「多良間ブルー」に癒される毎日です♪

【海へと続く道「トゥブリ゜」♪あなたのお気に入りはどこ?】

 多良間島は、写真で見ると良く分かるのですが、綺麗な楕円形をしていて、島を一周できる道路がぐるーっと走っています。観光するにも便利なこの一周道路、実は、その道路のあちこちから「海へと降りる道」が数多くのびているということは、なかなか知られていません。その数40以上と言われている「道」は、島では「トゥブリ゜」と呼ばれていて、島人はそれぞれにお気に入りのトゥブリ゜を持っていることが多いんです!

※「トゥブリ゜」って何?と思われた方は、昨年11月に掲載したコラムを是非読んでみてください!(https://www.okinawa41.go.jp/reports/20241127

 私のお気に入りは、島の北西にある「アウルトゥブリ゜」という場所で、一見するとただのケモノ道にしか見えない草藪の向こうに、天気のいい日は遠く石垣島を見渡すことが出来る海。そう、西側にあるので、絶景の夕陽スポットです。ガイドをしたお客様に「夕陽を見るのにお勧めはどこですか?」と聞かれると、「本当は内緒なんですけど…(ニヤリ)」という感じで、場所をお教えしています。他にも、「あまり人がいないプライベートビーチ」や「シュノーケリングに最適な浅瀬の海」など、色々と情報を持っていて、ゲストさんにあわせてご案内をしています♪

※やっぱり島に来たら、綺麗な夕陽も見たいですよね♪

 トゥブリ゜の入り口には、ちゃんと標識もありますので迷わないですよ!

 先ほど、島人にはお気に入りの「トゥブリ゜」がある、とお伝えしました。そしてまた、島に大事なお客様をお迎えしたときに「おもてなし」をする「トゥブリ゜」もあります。このトゥブリ゜は、私の仲良しの島人の方のお気に入りだったりするのですが、私の周りでは、島にとって大事なお客様がいらっしゃった際には、誰が言うともなしに、このトゥブリ゜でおもてなしをするという流れがあります。

※撮影した日はあまり天気が良くなかったのですが…晴れていると西に石垣島を臨めます!

 「タカシパマトゥブリ゜」と呼ばれるこのトゥブリ゜は、島の真西、多良間空港の裏側に位置する、こちらも夕陽の絶好スポットでもあります。ただひとつ難点は…トゥブリ゜までの道が「超」ケモノ道!初見ではまずたどり着けません(迷子になります!)ので、観光の方が単独で行くのはちょっとキケンです(汗)。私も役場時代にお客様がいらしたときにトゥブリ゜の下見やお客様のご案内をしたことがあるのですが、上司や周りの同僚から、「あっきーさんは慣れるまで絶対に一人であのトゥブリ゜に行かないこと!」と言われていたほどです。

※実際に迷子になったことが二度三度(笑)。

 でも、実際のここからの景色は何物にも代えがたく、まさに「おもてなしにふさわしい景色」だと、自負しています♪

【島の海の幸でおもてなし。え!?食事は「目の前の海から」!?】

 私が役場で協力隊をしていた、とある9月のある日。仕事関係でお世話になっている方が来島されることになり、上司や仲良しのにーにー(年上の男性)たちと、おもてなしの準備について話していた時のこと。

にーにー 「タカシパマで追い込み漁やるから、あっきーさんもしようね~♪」

・・・なぬ!?!?

 追い込み漁と言えば、浜の手前側に網を張り、沖から人力で泳ぎながら魚をその網に追い込んでいく漁のこと(あっきー調べ)。にーにーは個人的に良く漁をされているのですが、私はもちろん初めての体験。もっと言ってしまえば体力にはあんまり自信がありません(笑)。

にーにー 「大丈夫さぁ~、あっきーさんダイビングするしね~」

 いやいやいやいや、ダイビングと追い込み漁ってちょっと違うような気がするのですが・・・(ごにょごにょ)と言っている間に、あっという間に決定事項となり、当日はにーにーとそのお友達と私とで、追い込み漁をすることになりました。

※にーにーが事前に準備していた(もちろん海で獲った)お魚の数々。下ごしらえ済み(すごい)

 追い込み漁当日、にーにーが持ってきたクーラーボックスには、もうすでに何匹かの美味しそうな魚が。「もし今日獲れなかったらおもてなしできないから、あらかじめ獲ってきたさ~」というから流石としか言いようがありません。大事なお客様がいらしているのに、料理がない!は申し訳ないですからね…。にーにーの先読み能力にはひたすら脱帽でございます。
 
そして、いざ追い込み漁本番。浜の手前側に網を張り、私たちは沖の方へひたすら泳ぎ、にーにーの合図があった場所から、ひたすら追い込みにかかります。両手をバタバタさせながら浜の方へ追い込みながら泳ぐのは結構な重労働。内心「やっぱりダイビングとは違うじゃないの~(泣)」と内心突っ込みながらも、合図のままに何度も何度も追い込んでいきます。
30分弱は追い込んだかな、というタイミングで、にーにーから網を回収する合図があります。気になるのはその釣果・・・確か前回は「ボウズ」(魚が獲れなかった)らしいので、ドキドキの瞬間でもあります。

※獲った魚はすぐに海辺でウロコや内臓を落とし、すぐ調理できる状態にします。

 ドキドキの結果は・・・大漁!!!(歓喜)
と、私が浮かれている間にも、にーにーたちはその場で魚のウロコを取り、内臓も洗い、すぐに調理が出来る状態へしていきます。その手際の良さにまた感動。多良間には専業漁師さんはいないのですが、個人的に少しずつ(自分や家族が食べる分だけ)獲る人が多いので、こういう作業は皆さんお手のものなのだと思います。

※魚の焼き方まで豪快ですね(笑)。炭火で焼かれたテングハギ、とても美味でした♪

 【素敵な景色と美味しい料理とゆんたくと。最高の「おもてなし」】

 私たちが魚を追い込んでいた間に、にーにーたちの奥様方が陸上で、「ゆんたく」の準備をしていてくださいました。メインはもちろん、私たちが獲った魚たちなのですが、それ以外にも、多良間ならではの「ぱんびん(天ぷら)」や「じゅーしぃ(沖縄風炊き込みご飯)」なども準備万端!なんでもない日常の会話をしながらお酒を飲み、料理を食べ・・・そんなみんなの間を、島の心地よい風が吹き抜けていきます。※奥様方はドライバーなのでノンアルで。

 内地に居た頃は、「おもてなし」と言われると、「手の込んだ料理」や「素敵なレストラン」などが真っ先に思い浮かんでいた私ですが、多良間に来てからは180度考え方が変わりました。お客様の目の前で食材(魚)を獲って、一緒に島の恵みを頂きながら、時には海に沈む夕陽に感動しながら、なんでもないような島時間を共有する・・・。これって、めちゃめちゃ「贅沢」なおもてなしじゃないかなと思うんですよね。島にいなかったら絶対に経験できなかった「追い込み漁」と「夕陽を見ながらのゆんたく」。とても貴重な体験をさせて頂いているように思います。

※こんな、夏の入道雲も似合う多良間島です♪

 そして、せっかくだからと「追い込み漁」の記念?に、漁をしていた時の私の写真も撮って頂きました♪ちょっと「海の女」風な感じでとっても気に入っていて、ガイド用の写真などにも使っている一枚です。ここで特別にお見せしてしまいますね!

※軽々と持っているように見えますが、実はめちゃめちゃ重くて、早く撮って~と思っていました(笑)

 どうですかこのドヤ顔(笑)。自分で全部獲ったわけではないのに、いかにも「ちょっと出来る風」な写真に仕上がっております(笑)。でも、にーにーたちも、「いい写真だな!」「海の女みたいだな!」と言ってくれていて、本当にお気に入りの一枚です♪
 この写真を内地の友人に見せると、「私も追い込み漁したい!」という反応が返ってくるので、とっても嬉しくなってしまいます♪私の友達=私と気が合う=私の好きなものも好き、ってことなんでしょうか(笑)。でも、彼女らがいつか多良間に来た時は、にーにーたちにお願いして、是非一緒に追い込み漁が出来たらいいなぁと思っています☆

 多良間に来てから、内地に居た頃の常識がいい意味で覆されていて、それがとても居心地がいいことに最近改めて気づきました。コンビニはなくても、TVのチャンネルが少なくても、台風で島に閉じ込められても・・・多良間にはこんなに豊かな「自然」「人付き合い」があることを、島人の一人として誇りに思っています。
 皆様も、「都会デトックス」したくなったら是非多良間へ。「なにもない」が最高のおもてなしの、ちっちゃい離島へようこそ♪