映画『ミラクルシティコザ』特集①-コザから煌く、新生映画監督

「ヒトを通してオキナワを知る」をコンセプトに
オキナワの感性の魅力を発信します。

みなさま、こんにちは。
大学生レポーターのテルヤキエです。
今回からは、今年3月に全国公開された 映画「ミラクルシティコザ」についてお届けします。
第一弾のゲストは、映画監督の平一紘さんです。
“沖縄イメージ” を感じさせない、新しい視点から斬り込んだ映画は、多くの人々を魅了し続けています。

-Profile-
平 一紘 / TAIRA KAZUHIRO 映画監督。
「ミラクルシティコザ」の脚本・監督を務める。
沖縄市出身。Project9所属。
沖縄国際大学で自主映画を撮り始め、県内CMやQAB特別ドラマ「パナウル王国」「琉球トラウマナイト」などの多くの映像制作を手掛ける。
監督作品には「釘打ちのバラッド」「アンボイナじゃ殺せない」などがある。
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ロックスターだったハルが、孫に託した、最後の夢。
1970年と現代が沖縄市コザで交錯するタイムスリップ・ロックンロール・エンターテイメント!

主演:桐谷健太

主題歌:「エバーグリーン」/ORANGE RANGE
レジェンドロックバンド紫が全面協力

 

『ミラクルシティコザ』予告編
公式サイトはこちらから

映画監督になるまで

——–映像の世界に興味をもったきっかけを教えてください

「マトリックス」という映画がめちゃくちゃ好きだったのがきっかけです。中学生の頃、劇場に10回くらい観にいって、パッケージ化されたDVD とか300本くらい集めていたんですよね。それくらい映画オタクでした。

——–自主映画を撮り始めたのはいつですか?

大学に入学してからです。予算1万円以下とかで撮ってましたが、意外に楽しくて。そして、意外にいいものが出来たんですよね。自己満足だったかもしれないけれど、何の勉強もしてないド素人なのに、これだけ撮れるなら仕事にできるかもしれないと思いました。映画を撮るのにこんなに時間がかかるとは知らず…。
めちゃくちゃポジティブでしたね笑
キャストにはご飯を奢るとかしながら、出演者を集めていました。でも、監督として人にお願いする能力は、その時に鍛えられた気がします

——–なぜ映画監督を志したのでしょうか?

正直なところ、今までは映画監督に”なりたい”人でした。まだ売れたものも作れていないし、とても映画監督とは名乗れないなと。それくらい僕の中で、映画監督は神聖なものだったんです。30歳までに全く売れなかったらやめようと考えていましたが、首の皮一枚、繋がった気がしていますね。あと5年は頑張ろうかなと。この映画も目標達成できたわけではないですが、映画の世界で死ぬ気でやって、どこまで認知されて、感動できるものが作れるのか試してみたくなりました。僕は、ミラクルシティコザを撮ったおかげで映画監督になれたんです

映画界の現実と前進

——–実際に、監督として臨んだ映画の世界はいかがでしたか?

沖縄の場合は、映像芝居だけをやっている人はほとんどいないですし、自分たちの立ち位置やブランディングを考えることは大切だなと思いました。今まで何十本と撮ってきた中で、クオリティが高いと自己満足した作品では、全国や世界へ受けるものは届かないなと結論が出たんです。例えば、内地からできる人をたくさん集めて作れば何かできるかもしれないけれど、そういうことじゃないと思うんですよね。
沖縄の俳優たちが好きで、芸人たちも好きで。その人たちと作るとなった時、彼らの魅力を十二分に理解した上で書いて、街の魅力もプラスされて、よりいいものができると思ったんです

——–なるほど。でも比較するとやはり、厳しい面があるのですね。

数字だけが全てではないですが、僕は結果至上主義で。やっぱり、エンタメは勝負の世界なので、商売としてみんなが生活できないといけないんです。まだ、日本の映画は産業として成り立っていなくて、夢を食ってるような仕事で。トップの人達でも厳しい状況の中、沖縄はその映画界の端くれにもいない状態なんですよね。

そこから攻めるときの覚悟や、色々な気持ちを1番共有してきたのは彼ら(俳優の皆さん)です。いっぱい話をしてきたし、これだけやってもまだ刺さらない、その難しさを身をもって実感していると思います。じゃあ、次はどうしようかなと。第一歩は踏み出せた、二歩目があるかはまだ分からない状態だけど、今回良かったのは、映画監督の道筋がちょっと見えたことですね

——–気持ちを共有しながら進んできた映画だったのですね。

そうですね。作品の制作が決まった時点から、演出はもう始まっていて。現場では、俳優だけではなく、作る側も演技をしないといけないと思っています。そういう空気感を最初から意識していましたね。今まで売れなかったやつが、自分たちのストーリーを作りたい、頑張って映画を撮るというのは、完成形のイメージをみんなに理解してもらわないと応援してもらえないし、伝わらないんです

——–なるほど。脚本とはどのように書き始めるのでしょうか?

携帯のメモからです。情景やキャラクターの台詞から思い浮かんだりすることもあります。この映画は、未来映画予告編大賞の時に形が見えた気がします。かなり特殊なパターンでした。

脚本って、あて書きとは違うもので。人間を理解して、脚本に書いていくんです。
理解してもらうには時間がかかるけれど、僕の中ではなんとなく見えていて。キャスティングを反対されたこともあるけど、それは、その人物がどんな芝居をするか見えてないから感じることで。その気持ちも分かるんです。だけど、俳優がこういう芝居をしてくれるだろうなと分かった上で書いているので、それを周りに納得させないといけない。この映画を撮ったおかげで、映画監督として少し認めてもらえた気がします。それは、次の撮影の時に意見が通りやすくなるし、話を聞いてもらいやすくなる。とても大きなステップだなと感じます

夢が歩みを止めるまで

——–今後の夢や目標はありますか?

思いがけない予算のものが撮りたいですね。時間をかけて作った島を自分で吹っ飛ばすとか。やっぱり映画には夢があって、その夢を見て入ったから、なんでもできる状態で撮ってみたいです。あと、トム・クルーズに「よーい、ハイ!」って言うとか笑。誰もが知っているような映画も作りたいですね

——–ユーモアがあって素敵ですね。最後に、平監督にとって映画とはなんですか?

人生が一回しかないと仮定したときに、自分も楽しくて、周りも一緒に楽しく幸せに過ごせる手段は、僕にとって映画なんです。みんなが、僕のやるプロジェクトを面白いと思ってくれている間は、突拍子もない世界に連れて行って驚かせたいですね。すごい、面白いというジャンルを超えたところ。見たことない景色を一緒に見たいし、先頭を走りたいです。今回は、色々な人に観てもらえて、喜んでもらえて、映画として一つの到達はしたと思います。ただ、僕の目的はまだ達成されていないです。ミラクルシティコザはまだ歩いているので。その歩みを止めてぶっ倒れるまで、見届けていこうと思います

左:平一紘 監督 右:主演の桐谷健太さん

「最近は面白い題材をゲットしたからその企画書をたくさん書いています。めちゃくちゃ面白い企画です!もしかしたら、ミラクルシティコザより面白いかもしれないです」

そう話す平監督の目には輝きがある。私は取材中に何度もそう思いました。時に、映画界の現実を伝えつつも、好奇心に満ちた眼差しはとても印象的でした。
「いいものを作りたい。」その言葉は、人々を魅了する強さの表れなのかもしれません。平監督の次回作が楽しみですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

取材協力:Cafe Ocean

−Reporter−
照屋綺恵/ Teruya Kie
沖縄県立芸術大学 三線演奏者
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