投稿日:2020.11.01

【沖縄美術日誌 vol.2】うるまの小さな楽園〈Galleryはらいそ〉

【沖縄美術日誌 vol.2】うるまの小さな楽園〈Galleryはらいそ〉

うるまののどかな坂道を下っていくと、チラチラ光る青い海が見えてきます。
角砂糖のような外人住宅が立ち並ぶ一帯に、〈Galleryはらいそ〉はお店を構えていました。

「パラダイス」
楽園と訳されるこの言葉が語源である「はらいそ」という店名は、オーナーである河野さんの、お気に入りの曲名から取ったそうです。

小さな庭を横切り店の中に足を踏み入れると、そこには様々な沖縄のクラフト作品が目一杯に並んでいます。そのどれもがうるま市を拠点に制作活動をしている現代作家の工芸品であり、とても個性的なものばかり。見ているだけで楽しくなってしまいます。

ユーモラスなハリネズミのプレートと、取手が小さな丸絵のようなカップ。
どちらも、陶房〈土の種〉の食器であり、私たちの食卓を大切な思い出にしてくれます。

「日々の暮らしを彩る布」をテーマに、手機織り機で丁寧に織り上げられた花藍舎の布作品。琉球藍で濃紺に染め上げるには約半年もかかるそうで、作り手は季節によってコロコロと変わってしまう琉球藍と呼吸を合わせなければなりません。
そういった手間隙をかけた上質な織物は、どうしても価格が高くなってしまいます。そのため、オーナーの河野さんは、作品の価値をゆっくりと、そしてしっかりとお客様に伝えていく姿勢を大切にしていると言っていました。

このストールには、沖縄の海の底から空を見上げた情景が表現されています。
自然の素材と、植物の色によって作りあげられたこれらの布製品は、私たちの生活に寄り添い、自然との繋がりを思い起こさせてくれるようです。


〈再生ガラス工房 てとてと〉


次の部屋には〈白鴉再生硝子器製作所〉、〈陶芸こまがた〉や〈紅型べにきち(瀬底島)〉などの作品が陳列されていました。

うるまではたくさんの素敵な作家が活動しています。彼らの事を知り、彼らの作品を知ってもらう。そんな経験を通して、うるまで暮らす人たちが、今よりもっと地域に誇りを持てるようになれたら。そして、遥々旅行で来てくれたお客様には、ゆったりと心地よい時間を過ごしながら、沖縄の良質なクラフトに触れる機会を提供したい。
河野さんの優しい想いに支えられて、〈Gallery はらいそ〉は今日も開廊しています。

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〈Gallery はらいそ 〉
住所:沖縄県うるま市石川曙1-9-24
電話番号:098-989-3262
Web URL:https://haraiso.gallery/