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沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる

沖縄を舞台に繰り広げられる青春のストーリー。
主人公の少年、てーるーは東京から沖縄に転校してきた高校生。

好きな子喜屋武キャンさんができるも、
彼女の「うちなーぐち」に大苦戦。
そんなピンチをそっと助けてくれる比嘉さん。

比嘉さんはてーるーに思いを寄せ、
てーるーは喜屋武さんに完全片思い。

3人の絶妙なすれ違いに青春時代をくすぐられ、
どうしても噛み合わない歯車に歯痒さを感じつつ
うちなーぐちの独特のリズムにほっこりしてしまう。

沖縄の方が読んでも面白く、
うちなーぐちを知らない私たちが読んでも
斬新でありながら、ほっこりする作品です。

現在、新潮社『くらげバンチ』で連載中の
『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』
通称「沖ツラ」

作者の空えぐみ先生に直撃インタビューです!

以下▶︎空えぐみ先生 ▷ライター

 

先生と沖縄の出会い

 

 

▷今日はよろしくお願いいたします。
先生は大阪生まれ大阪育ちでいらっしゃいますが、
今は、沖縄にお住まいと伺いました。
先生と沖縄の出会いを教えてください。

▶︎よろしくお願いします。
関東にいた頃に沖縄出身の方と知り合いまして、
その方に沖縄のことをたくさん聞く中で
「沖縄って楽しいところだな」と思うようになりました。

とはいえ、僕の父方の祖父が沖縄出身なのです。

祖父が若い頃に大阪に来て、父が生まれ、僕が生まれました。
自分のルーツに沖縄があるということもあり、
沖縄に惹かれていたのかもしれません。

▷今、沖縄に住まれてどうですか?

▶︎そうですね、今沖縄に住み始めて3年になります。
沖縄に来て地元の方と話していると、
うちなーぐちで話されるので
初めの頃は聞き取れませんでした。

単語は分かるのですが、文章になると、
言葉の継ぎ目も独特なので
難しいなと感じることがあります。

僕に話しかけてくださる時は
分かりやすくゆっくり話してくださいます。

 

自然なうちなーぐちを描く


▷漫画に登場する「うちなーぐち」がとても自然に感じられるのは
空先生の実体験があるからなのでしょうか?

▶︎実際に僕が住んで驚いたことや体験したことを書いているので、そう言ってもらえると嬉しいです。

▷漫画の中に登場する主人公が思いを寄せる喜屋武さん可愛いですね。

▶︎ありがとうございます。名字の響きもかわいいですよね。

▷でも恋の行方は比嘉さんを応援したくなります。

▶︎そういった方多いんですよ。
比嘉さんは恋する女の子ですからね。
喜屋武さんは追いかけられている方なので、
内面を描いている比嘉さんの方が応援したくなるというお声をいただきます。

 

沖縄の文化に焦点を当てる

▷これからの恋の行方は目が離せません!
沖縄を舞台にした漫画を描かれていることで何か反響などはありましたか?

▶︎そうですね。いくつか反響はいただいているのですが、まずこの作品が沖縄の方から「自分たちのことだ」と喜んでもらえたのはとても嬉しく思っています。

さらに県外の方に作品を通して沖縄のことに興味を持てたという喜びの声もいただいております。

沖縄を舞台にした作品というのは他にもあるのですが、

沖縄の文化やうちなーぐちに焦点を当ててラブコメ風にした作品というのはあまりないのでここまでの反響を得られたのでしょうね。

県外の方からすれば、沖縄は空を飛んで行かないといけないし、
気候も亜熱帯で、食文化も文化も違う。
歴史的なものもね。言葉も違いますし。
沖縄の方が本気でうちなーぐちを話されると通訳なしでは分からないです。

沖縄に住んで3年

▷それが沖縄の魅力ですよね。
沖縄にお住まいになってから漫画を執筆されたのですか?

▶︎そうです。沖縄の方と関東で出会ってから沖縄に興味を持ち、
マンスリータイプのマンションを借りました。

1ヶ月だけ住んで沖縄の漫画を描こうと行ってみたら、
1ヶ月では全く足りなくて2ヶ月に延長しました。

そこで一旦関東に帰ったんですけど、
やっぱり2ヶ月じゃ足りない!ってなりまして、
今ではマンスリーではない普通のマンションを借りて住んでいます。

▷行動力がすごいですね。それから3年になられるんですね。

▶︎はい。もう3年になります。

▷ご苦労などはありましたか?

▶︎そうですね、台風時の対応が想像以上で困りましたね。
沖縄は車社会で、車は必需品なのですが、
台風が、海の塩も運んできて、それが車に着いちゃう。

台風一過はかんかん照りになるので、
潮風にやられた車をそのままにしておくと大変です!
なので台風が来た次の日には洗車が鉄則。
洗車場は30分とか1時間待ちの大渋滞です。
内地ではなかったですね。

また、台風そのものの思っていた以上に大変で、
どういった準備が必要なのかも分からず、
食べ物などの備蓄はとりあえず3日分用意したのですが、
実際5日ほど停電してしまいました。

電気が止まると、水を汲み上げる電力も止まるので水も出なくなり、近所の川に水を汲みに行きました。
水が出ないとお風呂にも入れないので、近所の方にお風呂を借りに行きました。

大変な事もありますが、楽しいことの方が多いです。
たとえば、町の運動会の後、地域の公民館にみんなが集まって宴会をした時でした。皆さんとても芸達者で、どこからともなく三線を取り出して壇上で弾きはじめたりして。

一人が三線を弾き始めると今度は太鼓、獅子舞が出てきたり。
今でもこんな宴会するんだなと思いました。

沖縄の魅力

▷沖縄の魅力と共に過ごされて3年、
ズバリ!先生を虜にした沖縄の魅力とは?

▶︎玄関開けたら海っていうのが最高です!
僕が大阪に住んでいた頃は

海というのは特別なものでした。
海の近くに住むのは憧れでした。

▷羨ましいです!

▶︎海に憧れを抱いていた僕たちには、
生まれた時から海がそばにある環境で育って、
海を見ながら通学とかいう感覚は分かりたくても分からないものかもしれないですよね。

ふらっと海に行って魚がいると網を投げて魚をとる。
近所にそういう方がおられて、とれた魚を頂いたことがあります。

その場でとれたものをその場で調理して、その場で頂く。
今までこんな経験をあまりしたことがなかったので本当に美味しくて、有難いなぁと思いました。

▷こうした経験をさせてもらうと豊かさの概念がアップデートされるように感じますね。

▶︎そうですね、都会という豊かさとは違った豊かさを感じます。

沖縄に来たのも、漫画を描きたいという気持ちが半分、
行ってみたいという気持ちが半分でした。

憧れもありましたし、正直最初は漫画を描くぞ!という為だけではなく、経験してみたいという気持ちの方が大きかったです。

沖縄で過ごすうちに、これが漫画にできたら、多くの方に楽しんでもらえるのはないかという思い、沖縄の漫画を描きたいという気持ちが強くなりました。

異文化に興味がない方にも伝えたい

▷実際執筆を始められて大変なことなどはありましたか?

▶︎沖縄の魅力をどうやって描こうかというのは今でも考えているところです。

異文化や沖縄に興味のない方にも楽しんでもらって、
知って欲しいという気持ちがあり、
エンターテイメントという切り口から、興味を持ってもらうことで多くの方に届けたいなと思っています。
沖縄文化の教科書のようになってしまっては、異文化に興味のない方に届かないですからね。

▷先生のその思いは多くの方を魅了しているのではないでしょうか。作中に、沖縄には魔除けが沢山あるというお話がありますが、
沖縄の歴史や人々の思いをジーンと感じるお話でとても好きです。

漫画の一コマに出てくる海の背景でさえ「いいなぁ〜」と思います。

▶︎ありがとうございます。やはり沖縄の海は魅かれますよね。

▷自然は大事にしなさいと教えられる機会も多いですが、
実際に体験して感じてみて心に刻まれることとの間には大きな差があるように思います。

うちなーぐちを取り上げるに辺り、意識されたことはありますか?

▶︎今の若い人たちはうちなーぐちを話せなかったり、
聞き取れない人も増えています。喋れる人は減っているなぁと肌で感じます。

しかしここ数年、県の取り組みやラジオ番組などで
うちなーぐちを残そうという活動が増えていますよ!

▷そんな中、漫画でうちなーぐちが読めるのは貴重ですね。
動画や歌などからはイントネーションを味わえる良さがあり、
漫画では言葉をゆっくりと読んだり、見返したり、
自分のスピードで会話を「見られる」というのがいいですね。

▶︎近所にはうちなーぐちが達者な方がいらっしゃいますので、
その方との会話からの気づきを漫画にしています。
お話する時に分からないことはメモにとったり、その場で聞いたりしています。
よく使う言葉は耳に残るので自然と覚えたり。

▷先生が思われるうちなーぐちの魅力とはどんなところですか?

▶︎音が可愛らしいと思います。

喜屋武さんが驚いたときに言う「あぎじゃびよい」などは
本を贈った知り合いのお子さんが連発しているらしいですよ。

うちなーぐちは耳に残って可愛らしいです。
なので全国で流行らせたいですよね。

▷ほんとですね!沖縄ファンは沢山いらっしゃると思いますので、
文化や言葉もあるがまま広がっていって欲しいです。
最後になりましたが、世界中のファンの皆さんへメッセージをお願いします。

▶︎はい。沖縄の文化は本土とは違うところが沢山あり、
その面白さを漫画を通して知ってもらったり、
沖縄の良いところを知ってもらえたら嬉しいです。

YouTubeで配信もしていますので一度ご覧ください。
次巻は夏頃を予定しています!


空えぐみ先生ありがとうございました。

漫画を開けば暖かな沖縄の風を感じ、
登場人物達と一緒に青春時代を過ごしているようで、
心を柔らかく解きほぐしてくれる作品です。

くらげバンチ コミックバンチwebにて読めます!
是非読んでファンになってください!



空えぐみ先生プロフィール
2011年、週間ヤングジャンプ(集英社)にて「ニポンゴ」を連載ののち、
2015年より「天野家四つ子は血液型が全員違う。」を連載。

現在、2020年よりくらげバンチ(新潮社)にて
「沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる」を連載中。