投稿日:2021.09.19

ものづくり特集:久米島で食器から看板まで、土地に根付いた木工の仕事vol.2

制作中の宮良さん

 

引き続き、久米島の木工房、五え松工房の宮良さんにお話をお伺いしています。
Vol.2ではものづくりへの思いと、「キャンプでできるお箸作り」を動画で教えていただきました!

 

木工の魅力とエピソード

幼少から環境問題に危機を感じていて、材料が木材なら長く使われ、頻繁に捨てることもなく、次の木が育つくらいのスパンで扱われるのではと思っていました。長く使ってもらうには、気に入られて、強度もしっかりしていないといけない。作り手のアイデア次第で環境問題にも貢献できるのではないかという気持ちです。木工品は扱いが難しいというイメージがあるが、長い時間で風合いが変わっていくことを楽しんで使ってもらえれば。

いろいろなお箸を作っていて面白かったのは、子ども用に全く角のない丸いコロコロ転がってしまうものです。あまりにも転がるので、扱いに気をつけて揃えて使うようになる。

最近は逆にでこぼこしたお箸も作ります。キャンプの薪割りでもわかるように、木は真っ直ぐには割れません。繊維に沿って歪んだ形に割れます。曲がっているけれど、繊維に沿っているのでしなやかで強い。形はでこぼこしているけれど使ってみるとそんなに気になりません。一本ずつ形が違うので、箸立てに数組立てていると毎回組み合わせが違っています。ちゃんと挟むために、手も勝手にちょうどいい具合に補正するものです。ただ、長さが違うのはちょっと気持ちが悪いです。

定番で作っているスプーンでも、うちの器にはもう少し小さい方がいいという方がいて、ひとまわり小さいものを作ったこともあります。自分用に作られたものは、より大事に使われますね。

1本1本が繊維に沿った形のため、不揃いのお箸

 

試作と経験の積み重ねから生まれるデザイン

スプーンの場合だと、型紙を使って同じ形をたくさん作るやり方と、フリーハンドの両方やっていて、型紙で切り出した後の端材がフリーハンドのスプーンになります。型紙で作るスプーンはずっと作ってきた中で試してきて使いやすい形に。フリーハンドは全部バラバラのサイズ・形で、ある程度何に使えそうかは想像しながら作っていても、お客さんに委ねているところもあります。

椅子のスケッチと実際の作品の画像をいただきました。フリーハンドのような柔らかい曲線も、たくさんの丁寧なスケッチがあり、いろんなバランスを試していることがわかります。

スケッチと実際の椅子

 

ワークショップで作るもの

自宅の庭や場所を借りて不定期にワークショップを開催しています。今後、観光で来た方に体験として用意するのもいいなと考えています。これからは、完成品を買うだけじゃなく、作るところからという人が増えてくるんじゃないかと、何を作るのがいいか考え中です。

今、数人集まって開催しようとしているのが打楽器の「カホン」作り。自分用に作っていて、ただの木の箱なのになぜこんなに音が違うんだろうと、勉強しているうちにだんだんいい音が出るものができるようになり、一度ワークショップを開催したところ、さらに本格的に作りたいという方が集まってきました。
他には、スマホを立てて使う木製のスピーカーのサンプルを、島内のオーディオ通の方と構造から試行錯誤しているところです。いい音が出て、見た目のインテリア性の高いものを目指しています。

 

生活を豊かにするものを目指して

その人の人生をちょっと豊かにする物が作れたら良いし、気に入ってずっと使ってもらえるもの、自分でもかっこいい形だと思える物を作り続けたい。もう作っていない物でも、昔買った物と同じ物が欲しいということにもお答えするし、作り手としての技術があがってくるのと、歳も取るので美意識も変わってくる。そして更に歳を取ると、今度は目が見えなくなってきたり、力がなくなったりして、できることが変わってくる。同じ仕事を続けているけれど、変化はあるので楽しみなところでもあったりします。

さまざまな木の器たち

 

今作っている物

多良間島からの依頼の仕事で、神社や御嶽の神事をする場所に「扁額(へんがく)」という木製の額が飾られていて、そのレプリカを作っています。300年ほど掛けられているものもあり、古くなっていて危ないので、差し替えることになりました。これは地域によって形や書いてあることもバラバラで、6点くらい作ることになっています。木地を彫るところまで出来たら、うるし作家の方が塗の作業をします。

作家としての小さなカトラリー作りから、文化財など、地元のものにも関わるようになり、大きさは違っても、注文があって作るという流れは同じ。求められたものはしっかり返していきたいという宮良さんの、丁寧なお仕事と、おおらかな曲線の楽しげな造形でひとつひとつの作品から、久米島の豊かな時間を感じられそうです。

制作している御嶽の「扁額(へんがく)」のレプリカ

 

そして、お忙しい中、キャンプで挑戦できる、
お箸作りの動画を用意していただきました!

ぜひご覧ください

 

ものづくり特集:久米島で食器から看板まで、土地に根付いた木工の仕事の記事はこちらから

下記の雑貨店で、五え松工房の作品を扱っています。

SHOPインフォメーション

〜久米島〜
店名:PLANKTON / DEE WHY CAFE
住所:〒901-3124沖縄県島尻郡久米島町仲泊511-2
   月~金:11:00~18:00定休日: 日曜日
電話:098-985-3776

 

店名:サイプレスリゾート久米島 ショップ海音 ~clapotis~
住所:沖縄県島尻郡久米島町字大原803-1
   7:00〜21:00
電話:098-985-3700

 

〜沖縄本島〜
店名:mofgmona no zakka
住所:〒901-2211 沖縄県宜野湾市宜野湾2丁目1-29-301
   月〜木 11:00〜17:00 金〜日 11:00〜18:00
電話:098-893-5757

 

店名:ten
住所:〒901-2301 沖縄県中頭郡北中城村島袋1497
   月〜水 定休日 木〜日 12:00〜16:00
電話 : 098-960-6832

 

工房インフォメーション

店名:五え松工房
住所:沖縄県島尻郡久米島町字仲地184-5
(工房での直接販売や見学はしておりません。ご用件のある方は事前にご連絡ください。)

営業時間(お問い合わせ受付時間):9:00〜18:00
電話:098-985-4833
E-mail:goematsu@woody.ocn.ne.jp
URL: